2025年11月に入って日中関係が変化したという報道が日中双方においてされています。
日本での状況は把握できるものの、中国の実際の状況はどうなのか。
知りたいという方も多いのではないでしょうか。
今回は、2025年9月から公益社団法人日本中国友好協会の中国政府奨学金の留学生として中国の上海師範大学に留学している浅井響に現地の生活についてご紹介いただきました。

はじめまして。浅井響と申します。
現在、中国政府奨学金留学生として日中友好協会様に選出していただき、上海師範大学に留学しています。
この一年間、政治に疎い自覚のある私ですら思わず注目してしまうほど、日中関係に激しい動きがあると感じています。
2025年が第二次世界大戦の終戦から80周年であること、それに合わせて当時の日中関係を描いた映画が公開されたこと、新たに日本の総理大臣に就任された高市早苗首相の発言が中国の反感を買ったこと、これらをうけて、中国で生活する一人の日本人として、感じたこと、経験したこと、また、経験していないことを述べようと思います。
まず端的に事実を申しますと、私が中国に入境した2025年9月17日から12月に至るまで「日本人だから」という理由で不利益を被ったり、差別を受けたり、不快な、そして危険な目に遭ったりしたことは一度もありません。
また、学校内でも高市早苗首相や歴史について問われたこともありません。
むしろ、家族や友人から送られてきた、心配する声や安否確認の連絡を見て、初めて事の大きさに気付いたほどです。
これは同じクラスにいる日本人のクラスメイトも同様のことを言っていたので、私だけではないと思っています。
私が日常生活で関わっているのは主に留学生と、日本に興味がある、ないしは日本に対して良い印象を抱いている学生で、生活しているのが上海という国際大都市であるため、一概に全ての日本人が安全であるとは私は言い切れません。
加えて、中国で開催予定だった日本人によるイベントや日本関連の出版物の刊行が相次いで中止・延期になっていると知り、個人的な被害はなくとも、一部の業界には多大な影響を与えているようです。
負の対日感情が個人に及ぶ前に、私の場合は留学生の友人たちと外出した際でもあまり簡単に日本人と名乗らないようにするなど、自分に出来る範囲で身を守っています。
SNSを見ていると、高市早苗首相の発言を受けた中国の動きを見た日本人の反中感情が高まっていると感じます。
ネガティブな事柄ほど伝達速度が速かったり、印象に残りやすかったりするからこそ、中国語を現地で学習している身として、また、中国に関心を持つ身として、それだけではない部分を広めていきたいと思っています。
両国共に優れた点があるからこそ、軋轢が生じ続けているままでは共に発展は見込めません。また、相手をただ批判する行為が自国の進歩に繋がるとも思えません。
互いが理解し尊重できる未来のために、今自分にできることを見つけていきたいです。