はじめまして。
東京都日中友好協会でインターンをしている児玉龍之介と申します。
私は2024年秋から清華大学の学部(本科)に留学しています。
今回は、清華大学の受験情報について、実際に受験した立場からご紹介したいと思います。
受験手順
スケジュール
清華大学の出願時期は3回あります。
第一期:9月―11月中旬
第二期:11月中旬―12月
第三期:1月―2月
出願時期は年度によって変わります。美術系学部の申請に関しては二期目及び三期目の出願を受け付けない場合や、出願期間が短い時があるので注意してください。
提出資料
提出必須資料:パスポート情報、在中連絡人、課外活動、HSK資格、英語資格、推薦状2通、自己紹介動画、美術作品(美術系の学部に限る)
任意提出資料:その他資格、賞状、他大学合格実績、SATやIBなど国際資格、職歴等
※受験には国籍条件があります。中国国籍の方、過去中国国籍を保有していた方、両親が中国国籍である方または両親が過去中国国籍であった方などは国籍条件に当てはまるか公式サイトで確認してください。
費用
受験料800人民元(約16,000円)
二次試験
二次試験に関しては総合試験としか記さていません。内容は主に面接ですが、筆記試験が行われる場合もあります。まず面接のみの二次試験に関して説明します。二次試験のみの面接はオンラインまたは東京で開催されます。試験時間は約15分で、ほとんどのやり取りは中国語で行われます。英語で回答する質問も1問程度設けられています。受験者1人に対して面接官は4人程度です。質問内容は志願理由以外に、学力レベルや体育能力に関して聞かれます。実際の質問例は、你的数学能力怎么样などです。勉強ができ、かつ学習意欲や多くの経験がある人が求められていると捉えられます。
総合試験では筆記試験も行われる場合があります。出願時期などによって決まるとみられます。筆記試験は北京で行われ、小論文又は15分程度で回答する数学などのテストが行われます。面接も同日に北京で行われます。
難易度
清華大学合格の関門としてまず挙がるのはHSK試験です。特に中国語を母語としない方にとって、HSK5級以上の取得は難関です。合格の難易度や倍率は不明です。中国のトップ大学であり、世界でも評価を受けている大学のため合格は容易ではありません。しかし、倍率などは公表しておらず、採用担当は良い人材が居たら採ると言っており明確な合格人数も不明瞭です。ただ、例年実際に入学する留学生は200人前後です。2024年の日本人入学者数は5人です。国別ではマレーシアが約50人と最多で、その後韓国、モンゴル、インドネシアがそれぞれ約20人ずつと続きます。国籍や年度によって合格率は変化すると思われます。
少なくとも中国の中では最も難しい大学の一つですが、世界大学ランキングで同程度の欧米の大学と比べると、受験者が少ないため受かりやすいと言えます。ただ、このような不明瞭な受験システムが清華大学受験や合格の難しい点です。特に二次試験については面接だけの受験者もいれば筆記試験を受ける人もいます。どう対策すればよいか分からない、受かる確信を持てないという難しさや不安があります。分からないということを前提に、合格が確実視できる他大学の同時受験もおすすめです。
清華大学受験に向いている人
中国語ができる方
清華大学受験の最大の難関は中国語です。中国語ができる方は清華大学の受験をおすすめします。
世界大学ランキングで高順位の大学を狙っている人
清華大学は世界大学ランキングで例年アジア1位や世界TOP20に入る高順位の大学です。ただ、国際生が受験する場合、合格は同程度のランキングの大学と比較した場合比較的容易です。これは、欧米の大学と比較すると授業言語が中国語のため、国際生の受験者数が少ないからです。
奨学金
北京市政府奨学金
清華大学の受験申請フォームに北京市政府奨学金を申し込む欄があります。奨学金を申し込むことによって合格の難易度が変わることは無いとみられます。北京市政府奨学金の審査は清華大学合格後のテストによって行われます。受験内容は文系が中国語、理系が理系科目と中国語などです。
中国政府奨学金
本科生や研究生の場合はJASSO経由で中国政府奨学金を申し込むことができます。例年締め切りは12月です。日中友好協会では交換留学者向けの奨学金を提供しています。
参考:JASSO公式サイト
寮・大学の施設
寮は2人部屋または3人部屋です。以前まで1人部屋やABルームという部屋がありましたが、留学生の増加に伴って全部屋2人部屋や3人部屋に改装中です。寮は一部学部を除いて留学生のみの寮で、一日30元程度です。各フロアに独立のバス、トイレ、ランドリー、キッチンがあります。部屋は狭いですが寮全体は清潔です。
大学には美術館、病院、美容院、スーパー、銀行、携帯ショップ、花屋など非常に多くの施設が揃っています。基本的には大学外に出ず生活できます。ただ、大学が広大なため自転車や电动车と呼ばれる電動バイクのようなものが必要になります。なお、电动车は電池発火の恐れがあるため使用を控えるよう推奨されています。自転車は入学時期に大学内で多く販売されています。ただ、値段は高く設定されています。大学外で購入する方が価格を抑えられます。
携帯の契約は学校内の携帯ショップで行うと学生専用の低価格プランを契約することができます。銀行口座は中国の銀行口座を保有していても、大学内の支店で中国銀行の口座開設が基本的に求められています。口座開設は申請から約1か月程度かかります。それまではVISAなどのクレジットカードをwechat等に紐づけ支払うことになります。なお、大学内の銀行では日本円の両替ができません。近くにある大学外の銀行では両替可能です。
食事は基本大学内の食堂で済ませます。食堂は20近くあり、中国でご飯が最も美味しい大学の1つとされています。ほとんどが中華料理ですが、照り焼きや韓国料理、冬季にはおでんもあります。
なお、清華大学の入校には学生証が必要です。事前に大学を参観したい場合は在校生に予約をしてもらうか、wechatのミニプログラム(小程序)などを通して予約が必要です。
授業について
授業は基本的に全て中国人と共に受けます。英語開講の授業もありますが少ないです。授業のレベルに全く追いつけない、課題が多すぎるということはありませんが、基本的にどの学生も真面目に勉強し、競争が激しいため、結果的に学習に追われます。
日常生活について
清華大学は中国トップの大学であると同時に、現在の中国は就職難等によって競争が激化しています。その結果、現在の中国では内卷という競争激化、学習のし過ぎが社会問題になるような状況になっています。基本的に勉強をする日々です。また最も早い授業が朝8時から、最も遅い授業は22時頃に終わるので、平日はあまり遊びません。ただ、ほとんどの生徒が学内の寮に住み、共に食堂で食事をし、授業を受けるので、毎日友達と話し笑い合う日々で、楽しく充実しています。休日には近くのショッピングモールでご飯を食べたりします。
中国の支払いはほとんどがwechat微信、alipay支付宝で行われます。これは日本のpaypayのようなものです。その他、中国ではグーグルなどに使用にVPNが必要になります。またアマゾンやウーバーイーツなどはありません。ただ代わりに淘宝や美团などの代替えとなるアプリがあります。物価は日本より基本的に安いです。
思想統制、言論統制など中国に対して怖い印象がある方も多いですが、実際の中国や清華大学内は非常に安全で自由です。また清華大学の学生は頭もよく、教授も多くが海外大学院卒であったり留学経験があったりし、議論や論文執筆に制限がかかる、社会主義に染まりきっているということはありません。
清華大学のメリット
中国大学の受験をする際、他の北京大学や上海にある上海交通大学、復旦大学、浙江大学なども受験校として検討される方が多いです。その中で清華大学のメリットは主に3つあります。1つ目は圧倒的なブランドです。清華大学と北京大学は中国のトップ大学で、日本の東大にあたります。ただ、中国の大学受験者数は約1300万人で、日本の大学受験者数約65万人の20倍です。しかし、清華大学と北京大学の1学年の人数はそれぞれや約4千人で非常に激しい競争です。そのため、清華大学の学生である、というだけで中国や世界で信頼やブランドを得ることができます。また、このような競争を勝ち抜いてきた学生と共に学ぶことは良い刺激となります。
2つ目は資源の豊富さです。中国政府が提供する清華大学への予算は、中国に清華大学以外の全ての予算の合計よりも多いです。名門大学卒の先生、頭の良い友達だけでなく、日立の会長やマイクロソフトのCFOが講演に来たり、夏休み及び冬休みに移動費や宿泊費無料で中国各地や海外に研修行くことができます。
3つ目は清華大学の留学生に対する姿勢です。上記2つは同様に中国トップである北京大学にも当てはまることですが、両大学の留学生に対する姿勢は異なります。清華大学の留学生に対する姿勢は、中国の学生と同様に接することを挙げています。そのため、授業、評価は一律です。北京大学も留学生を贔屓するということはしませんが、例えば北京大学の留学生寮は学外にあります。一方清華大学の留学生寮は中国人向けの寮と同様に学内にあります。このような姿勢は中国留学をより充実させるものになります。
公式サイトの最新情報を確認してください。
上記の内容は過去の清華大学受験について記したものです。二次試験の内容などに関しては、あくまで過去の実例として捉えてください。