10/14 満蒙開拓の歴史を訪ねて

 中国帰国者研修会旅行(認定NPO法人東京都日中友好協会、日中友好大海の会、中国帰国者墨縁金閣会、残留孤児&帰国者同心会、中日国際交流会)総勢51名は、2016年10月14~15日、満蒙開拓平和記念館及び残留孤児の帰国に尽力した故山本慈昭翁の寺「長岳寺」を目指し出発した。

 しかし、予定の8時30分になってもバスが未到着。交通渋滞にまき込まれたとのことで1時間遅れの出発となった。バスの中は、自己紹介で始まった。そしてビデオ2本「世界一清潔な羽田国際空港の清掃員―新津春子」、「村人は満州に送られる ―国策71年目の真実― 」観賞を予定していたが、DVDとバスの機器が合わず映すことが出来なく残念だった。

 出発が遅れるアクシデントがあったものの、休憩時間などを短縮して遅れを取り戻した。

 予定通り14時、満蒙開拓平和記念館に着くと飯田市日中友好協会の清水可晴会長、小林勝人理事長をはじめ平和記念館の皆さんに迎えられた。清水会長は「満蒙開拓平和記念館は、戦時に国策で旧満州に多くの日本人が渡り入植した資料を収集・展示し、当時全国最多の開拓民を送ったここ長野県阿智村に2013年開館した。満蒙開拓は、旧満州の現地中国人から土地を取り上げ30万人もの日本人が入植した国策です。長野県は、県や学校からの圧力や養蚕の不況などにより、3万3千人が移住した。貧しい農家の若者などが「20町歩の地主になれる」と乗せられて大陸に渡り、厳しい自然の中での開墾の末、ソ連軍の参戦によりシベリア抑留、徒歩による逃避行により、帰国できたのは開拓団の3分の一。逃避行の途中子供や家族を失い、残留孤児となった。」と挨拶の中で語られた。

 そして「満蒙開拓の真実」DVDを観てから、館内を3グループに分かれガイドさんの詳しい説明を受けた。偶然にも、展示されている奉天孤児収容所の写真に写っている子どもの一人が今回の研修会旅行に参加した佐伯輝彦さんであることが判明した。参加者一同が驚きと興奮に包まれた。展示写真の前で、佐伯さんを挟んで清水会長、小林理事長並んでの写真が撮られた。多分、この写真は記念館に飾られることでしょう。

 その後、私たちは歩いて5分の所にある故山本慈昭翁の寺「長岳寺」を参拝した。

 長岳寺の住職故山本慈昭翁は「残留孤児の父」と呼ばれた人。満州へ赴くのは、終戦3か月前の昭和20年5月のことでした。山本慈昭住職の生涯を描いた「望郷の鐘」をご覧になった方は分かると思いますが、夫人と幼い娘を伴っての移住でした。帰国後、妻も娘も、収容所で死亡したと知らされる。しかし帰国後20年が経過して、死んだはずの娘は、中国人に預けられて生きているらしいと聞かされた。何度も国に訴え続け、ついに昭和56年に初めて、残留孤児が来日し本格的な調査が始まったのは終戦後36年目のこと。そして、この年に、実の娘と中国で再会を果たした。

 長岳寺に建つ山本慈昭翁のブロンズ像を後に、山門の石段、なだらかな坂道を下り、宿泊場所の鶴巻荘に向った。
鶴巻荘は、昼神温泉郷の中心にあって純和風の宿。朝市が宿の目の前に地元産の野菜、山菜などが並ぶ。お風呂は珍しい御座敷風呂。アルカリ性硫黄泉で肌がすべすべとなる素晴らしい温泉。

 夕食後19時、飯田市日中との交流会は、飯田市帰国者連絡会多田清司さんの歓迎挨拶のあと、戦争体験談を参加者の斎間剣佳志さん、佐伯輝彦さん、緒方節子さん。飯田市日中から多田清司さんが話された。

 その後、飯田市日中の二世が素晴らしい中国踊りで私たちを歓迎。お返しに大海の会のグループの皆さんが踊りを披露。最後に、飯田日中会員のアコーディオン伴奏で全員が「大秧歌」という中国の踊りを踊って楽しい雰囲気の中、会は終了した。その後も部屋に戻ってから飯田日中の皆さんと夜遅くまで交流が行われた。

 15日、阿智村に別れを告げ、道の駅やリンゴの里でお買い物。帰りのバスでは一層の交流を深めた。参加者の一人姫田光義中央大学名誉教授に何かお話して頂こうと言うことになり、「無順戦犯所の軌跡」、中国遼寧省無順戦犯所で日本人に何が起きたか。教科書にも取り上げられていない話をして頂いた。

 「日本の敗戦後、満州を占領したソ連軍は、シベリアに兵士60数万人を連行し、1950年新中国に戦犯として969名を引き渡し、無順戦犯所に収容された。6年間の間、中国政府の人道的な政策で生活は保障され、侵略と加害の事実を認め、自らの力で「人間」に変わった。一人の処刑者も出さずに釈放され、帰国後、中国帰還者連絡会(中帰連)が組織された。侵略戦争とそこでの加害の実態を訴え、反戦平和と日中友好のために証言活動を続けてきた」と。姫田さんは「無順の軌跡を受け継ぐ会」代表を行っており、「証言者が少なくなった」と語られた。

 その後、カラオケや機知の富んだ話しなど、車中に笑いの渦が絶えなかった。

 参加者は戦争の悲惨さ、二度と戦争は繰り返さないという思いを胸いっぱいに東京に戻った。

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