学術会議発表者紹介(続編その2)「创造世界绿色和平与区域经济发展国际学术会议」7/30開催分 ~学術会議に参加して~発表者紹介(③高橋幸治   立教大学アジア地域研究所特任研究員 ④佐原 剛   日本アイ・ビー・エム株式会社シニアマネージングコンサルタント)

 

    

创造世界绿色和平与区域经济发展国际学术会议~
(発表者紹介)学術会議に参加して~発表者紹介2名

(発表者 その3)

 ■③高橋孝治 最近の日中環境法の動向比較  台湾地区淡江大学日本政経研究所訪問研究員

 本発表では、日中の環境法の動向について報告した。中国の環境法制について、日本語で最もまとまっているのは、髙見澤磨=鈴木賢(編)『要説 中国法』(東京大学出版会、2017年)311~333頁(担当:片岡直樹「環境法」)である。そこで、まず片岡の指摘をベースに中国の環境法制史について概説した。中国で、環境問題を専門に扱った最初の法律は、1979年9月13日制定の「環境保護法(試行)」であり、これは1978年3月に改正された中国憲法第11条に「国家は環境と自然資源を保護し、汚染とその他の公害を防止改善する」と規定されたことを受けてのことであったとされている。その後、1989年12月26日に新しい「環境保護法」が制定され、その他にも様々な環境法制が整備されていった。海洋環境保護法(1982年)、水汚染防止法(1984年)、大気汚染防止法(1987年)、エネルギー節約法[節約能源法](1997年)、環境影響評価法(2002)、放射能汚染防止法(2003)、海鳥保護法(2009年)などである。

 しかし、中国では政策が法律になるというプロセスを踏むことがあり、これらの各種環境法制が制定される前にも一部の地方で、政策によって環境保護が行われていたこともあった。すなわち、少なくとも中国の環境法制は机上論で制定されたものではなく、一部の地方での成果が反映された法律となっている。

 もっとも、報じられているように中国では環境はいいものとは言えない。刑事法としての環境法制は統計上ある程度機能しているようではあるが、やはり地域によって法適用に濃淡があることが指摘されている。汚染被害による民事的賠償については、法律がほとんど機能していないとの指摘もある。日本の場合は、四大公害病などを契機に市民が公害訴訟を起こし、政治家に嘆願するなど市民からの圧力で環境法制が整備されていった。しかし、中国は上記の通り、政府側から制定されたものなので、市民の環境法に対する意識も日本とは大きく異なる。

 そんな中国の環境法制であるが、最新の動向としては大型河川の環境保護に注力している。例えば、2020年12月26日に長江保護法が公布された(主席令第65号、2021年3月1日施行)。この制定理由として、習近平は自然環境と共にある発展の道を作るため、そして、長江の保護は中国の生態系維持のために重要であるとしている。特に、長江を水源としている洞庭湖などは旱魃で枯れ、魚が住めない部分もあるとの指摘もあった。さらに、今年7月13日に、今度は黄河保護法制定の ための研究会が開催されたという報道がなされている。河川汚染が、生態系を狂わせているという末期的状況になっており、ついに中国政府も本腰を入れて少なくとも、長江・黄河の汚染対策に乗り出したと言え、これからの中国の環境動向として長江、黄河という二大河川は要注目である。なお、日本は、2021年に地球温暖化対策促進法やオゾン層保護法が一部改正されるなど地球規模の環境法の改正を行っている。

感想(おわりに) 

 環境についてはどうしても技術面から語られることが多いが、法律面から語るアプローチもある。今回は短い時間であったが、日中環境法の歴史的経緯と最近の法制定・法改正について見た。環境問題を見るときに現場の状況を確認することも重要だが、政治家の動向なども併せて見ていただければ幸いである。

 

(発表者 その4)

 ■④佐原 剛  大学 DX について考察 日本アイ・ビー・エム株式会社シニアマネージングコンサルタント

 本論の前に、IBMでは創業以来「教育に飽和点はない」という理念が根付いている。昨今VUCA時代と呼ばれ、先行き不透明な市場環境である中で、その変化に対応するためには、常に学び続けることが必要であると考えている。学んだことをビジネスに活かすだけでなく、お客様や仲間に貢献することができ、その貢献から喜びを感じることで更に学びを深める。このような学びによるプラスのサイクルを非常に大事にしている。

 私個人では、ビジネスにおいてだけではなく、「人の学びには飽和点は無い」という理念で、様々な学びを生涯かけて継続していきたいと考えている。その中で、このような国際学術会議で発表の機会を頂戴し、また多くのご発表を伺える場に参加をさせて頂いたことに感謝を申し上げる。

 日本における大学市場の状況は、少子高齢化による18歳人口が平成5年をピークに減少を続け、平成19年では18歳人口が大学の収容能力を下回るという全入時代に突入している。このことで、地方大学や小規模大学においては、大学の再編成または統合、経営不振の大学が一部の学部で学生募集を停止、または潰れる状況が見られる。これを大学戦国時代と呼ぶこともあるが、大学においては他大学との差別化を図り、求める学生に対し、どのような教育をして、どのように成長させることができるのかについて、正しく情報を公開し、マーケティング活動を通じて、学生のロイヤルティを入学前から高め、最適な学生支援を実施し、卒業生とのリレーションを維持する必要性が叫ばれるようになった。

 この点からも、大学は学生情報を統合的に管理し、データドリブンで経営をしていくことが必要と考えている。日本IBMでは、データドリブンで大学経営をするためのソリューションや戦略ロードマップ策定について支援しており、その一例として、入学前・在学時・卒業後における学生支援を実現するためのソリューション提案(個々の経営理念・差別化要素にてカスタマイズ)、その中でAIを活用した学生キャリアポートフォリオや、TA(ティーチングアシスタント)のチャットボット化の事例を紹介させて頂いた。

 これまでは18歳人口における学生数の減少という話をしたが、これから先の動向としては、女性社会進出による女性学生及び留学生は、年々増加傾向にあり、女性の大学院進学率も高まっていくことが考えられる。また、長寿社会においてはリカレント教育がより重要になっていくだろう。このように従来の取り組みから脱却し、大学市場の変化に対し経営を変革していくことが急務である。

 日本IBMでは、その変革を最先端のデジタル活用で支援するだけではなく、新しい学生体験や、そのために必要な組織の在り方を含めた構想支援も行っている。このことを合わせて初めてDX(デジタルトランスフォーメーション)が実現できると考えている。

感想(おわりに)

 本会では、日中の様々な専門家や学生における発表を拝聴することができた。観光における課題、コロナやウクライナ情勢、法律の視点からみた両国など、非常に多岐にわたる内容だった。

 本会の題目でもあるように、全世界に平和が訪れることを祈念するとともに、地域経済を担う両国が手を取り合って、新しい経済が創出されることを願っている。

  

 今後も皆さんからの 積極的な学術発表や「投稿」、「意見」等お待ちしています

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