中国と関わる社会人にインタビュー
こんにちは!
この記事では、東京都日中友好協会のインターン生が中国と関わりながら活躍する方々にインタビューをしています。
将来中国と関わりたいと考えている学生の方、中国に関心のある方ぜひご覧ください。
他の方のインタビュー記事はこちら
No.1 井上正順さん
No.2 伊沢淳一さん
No.3 石塚諒平さん
No.4 瀧口賀子さん
No.5 島田さん
No.6 小田玲実さん
信州大学繊維学部に進学、卒業後は同大学院で修士課程を修了。
その後、株式会社クレハに技術職として入社。
2019年から現在まで中国上海に駐在。現地では研究開発職と技術営業を担当している。
中国との繋がりは「駐在」のご縁から
現在中国に駐在されていますが、それまで中国との関わりはありましたか?
いいえ、今回の駐在まで中国との関わりはほとんどありませんでした。
学生の時は理系で海外との関りも浅く、中国についてはほとんど知りませんでした。
現在の会社に入って4~5年あたりに、展示会のために中国に出張する機会が何度かあり、そこで行ったことがあるくらいだったんです。
なので、ここまで濃厚に関わるのは今回が初めてでした。
ーそうだったんですね。どのようにして現在の会社を選ばれたのですか?
就職活動の際には、何か一つのことをやるよりも色んなことができるところがいいと考えていました。
そこで、新しい分野に挑戦し続けている今の会社を選びました。
現在は駐在をしていますが、当時は特にグローバルに働きたいという強い意志を持って就職活動していたわけではありませんでした。
ーでは、中国と関わりを持ち始めたのも本当にご縁だったんですね。
本当にそうだと思います。
駐在に行くことになったのも、「駐在に行く」という目標を決めて頑張っていたというよりは、
目の前のことを頑張っていこうという姿勢でいたら、縁が巡ってたまたま中国に行きついたという感覚でした。
中国人と働くこととは
駐在では、具体的にどのようなお仕事をされていますか?
今は上海の支社に勤めていますが、主に研究開発と技術営業を担当しています。
お客様の課題をヒアリングをした後、中国にあるテクニカルセンターに実験や開発の指示出しを行い、中国のお客様にソリューションを提供します。
また、駐在は本社のある日本から現地に赴く、つまり「管理する」立場が強いです。そのため、マネジメント職も担っています。
例えば、中国での採用活動や現地スタッフへの指示出しなど幅広くこなしています。
ーそのなかで心がけていることはありますか?
相手をしっかり理解することを常に心掛けています。
中国に合ったやり方は中国人の方がよく知っていますが、それがその状況でのベストなやり方とは限りません。
中国人の話に耳を傾け、また議論が白熱しそうな時はあえて距離を置いてみたりして、日々その時の最適なやり方を模索しています。
仕事の中で、日本人と中国人の違いを感じた場面はありましたか?
社内で見ると、やはり日本人と中国人の考え方の違いは如実に出てきます。
日本人は石橋を叩いて叩いて、それでも渡ったり渡らなかったり。笑
それに対して、中国人はゴールに向かってどんどん階段を上っていくイメージです。
どちらが良いというわけではありません。
とりあえずステップを重ねる中国の方が結果的に早く良いものを作る場合もありますし、逆に慎重にゴールを見定めた日本のほうが最短ルートで質の良いものを作る場合もあります。
その場に応じて、どのやり方をとるか決めるのが私達駐在員でマネジメントをする人の仕事であり、常にこの問題について考え、行動しています。
初めて中国で暮らして感じたこと
駐在で大変だったことはなんですか?
日頃の健康管理が一番大変でした。海外旅行と違って駐在は生活をしなければなりません。
私は海外に住むこと自体が初めてだったので、最初はそれが慣れず負担でした。例えば、食べ物や日用品をどこに買いに行けばいいのか、どこの製品が一番いいのか。初めの三ヶ月くらいは、何もわからない中でその選択をしなければならないのがストレスでしたね。
ーそうだったのですね。駐在に行く前の中国語力はどうだったのでしょうか?
中国語は駐在してからのゼロスタートでした。今は、日常的な買い物や食事はできるレベルになりました。職場では日本語ができる職員はとても多く、通訳の方もいるため、実はそこまで語学力が求められるわけではありません。
私がそうであったように、駐在員になるには中国語のレベルはほとんど関係ないのかもしれません。
それよりも、仕事ができること、現地を任せられるかが重視されるのだと思います。
駐在後、中国に対する見方で何か変化したことはありますか
日本にいた時は、正直中国についてあまり深く考えたことはありませんでした。
そのため、中国に来てからは見るもの全てが新鮮で印象深いです。
例えば、電子決済がこんなに進んでいるなんて驚きでした。私の出身が地方ということもあり、上海は想像していたよりもずっと都会に感じました笑
また、良い意味で干渉しすぎないところが、自分にとってとても暮らしやすいなと感じました。
バスや電車に乗ると、みんな大声で電話したりしてるんですよね。笑
そうやって、良い意味で自分のことを優先している中国人の姿を目にして、「ああ、自由な国なんだな」と感じたのを覚えています。
コロナを中国で過ごして
コロナ禍ではどのような生活の変化がありましたか?
2020年2月から4月はコロナの状況も深刻で、ほぼリモートワークでした。
一番ひどい時期が中国の春節(旧正月)に被っていたので、日本に一時帰国したまま渡航制限の影響で中国に戻れない人が出てきていました。
自由に出歩けない等の生活の変化に加え、言語の壁があるため病院に行くのは大変でした。
今はほぼコロナ前と同じ普通の生活ができています。
ー中国は早くに封じ込めが成功した印象がありますが、実際現地ではどのように見受けられましたか?
外出制限があったり、行動追跡アプリが導入されたり、そういった政策は早かったと思います。
ただ急速に色々な対策を講じた分、成功したものも失敗したものもあります。
例えば、地下鉄の各車両にQRコードを設置して乗客の乗降履歴を残すというシステムがありましたが、いちいちスキャンしている人はあまり見なかったですね。
こういった感染防止対策の中で、トップダウンで物事が進んでいく中国の文化的土壌を改めて感じました。
ここは日本と違うところだなと思います。
コロナ禍で何か新たに初めたことはありますか?
家にいる時間が多くなって、海外にいるという感覚があまりない時期もありました。
そこで何か新しいことに挑戦したいと思い、絵を描き始めました。実は、今度上海で個展を開くことになったんです。
日本だとこのような新しいことに否定的な意見が出てくることもありますが、中国だと周りからの干渉はなく、批判のような声も全くありませんでした。
なので、何か新しいことを挑戦するにはとても良いフィールドかもしれません。
(※個展の挑戦日記はこちら → https://note.com/qingmu_art )
本日は貴重なお話ありがとうございました!
最後に中国に関心のある学生の方に一言お願いします。
私は駐在という形を通して、中国との関わりを持ちました。中国に関心のある学生の方の中には、企業に就職して将来駐在をしたいと思う方も多いと思います。
ただ私から一つ伝えたいのは、会社に海外拠点があっても、数人規模で担っている駐在員の枠は決して多くないということです。
そのため、駐在員に決まる要因は運やタイミングの方が大きいんです。
駐在員を目指したからといって必ずなれるわけではない。現実的なことを突きつけてしまうかもしれませんが、このことを知ったうえで企業の選択・就職をすると入社後のギャップは少なくなると思います。
自分のやりたいことに向き合うことは大変難しいことだと思いますが、その悩む期間はとても大切なことです。応援しています!
中国人と日本人が一緒に働くことの面白さや難しさは、駐在を経験されている方ならではのお話で
すごく興味深かったです。ありがとうございました!
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詳しくは、当協会のボームページhttps://www.jcfa-tyo.net/をご覧ください!